設立理念
こんな願いのもとに「あかりの家」は開設されます。自閉症という障害をもつ人たちを中心とした精神薄弱者更生施設「あかりの家」。
しかし、それは決して障害のある人ばかりが集まる所ではありません。いろんな人がいろんなあかりをもって、そして大きな光を輝かそうとする家なのです。年老いた人、若い人、男の人、女の人、障害のある人、ない人、この世に生きるすべての人が集まる普通の家なのです。
しかし、私たちはともすると弱い人や障害のある人のもっているあかりを見失いがちです。そのあかりに気づかず、一見めにとまるようなあかりに気をとられがちです。でも、世の中には障害のある人もいて自然なのです。男の人と女の人がいるように。年老いた人と子供がいるように。そして今まで私たちが気づかずにいた障害をもっている人のあかりを今しょく台の上におくことによって、私たちはこの社会がより明るく、より住みやすく、より美しくあってほしいと願うのです。
ともに生きるという存在そのものの連帯が人間社会、生物社会において唯一の真実だと思えるからです。私たちはその実践の場として、障害のあるなしを越えた、ともに生活していく家を築きたいと願っています。皆様のご支援、ご理解を願ってやみません。
(1985年1月)
あかりの家 共通確認
施設・法人あかりの家の究極的な役割は、自閉症の人たちの可能性を切り拓き、兵庫県の自閉症の人たちに様々な人生を実践的に提供することにある。
それを実現するための拠点として、入所施設あかりの家ができた。30年目に入る。そして、これまで少しずつ実践を積み上げてきて、法人レベルでの「自閉症総合援助センター」
の実現を目指している。 時代の流れが激しい。しかし、我々は “いくら障害が重くても働こう”・“お世話でなく人生の応援をしたい”・“地域で暮らす行動障害の激しい自閉症の
人たちの応援もしよう”など、療育的な視点に重きを置いた質の高い支援を、今年度も変わらず堅持したい。 そしてもう一つ、昨年度を転換年とし、今年度は、「短期決戦」の認識
の下、意識を変え、動き、結果を出す1年とする。 そのためには「高い目標」は必須の条件と心得、今年度も、引き続き<プロ集団あかり>と<職員集団力>をキーワードとする。
また、“量としての一生懸命”に甘んじるのではなく、“質としての一生懸命”でもって、生きづらさを抱える自閉症の彼らの、本物の応援を目指したい。その分かれ道としての今
年度を考える。私は、何人かの、場合によれば20何人かの、30何人かの、直接間接の有志とともに、その道を切り拓こうと思う。
Ⅰ.職員集団作りの方向
・職員集団の質は、良いところを伸ばすチームであるか、悪いところを伸ばすチームであるか、それによって決まる
・チームのあり方が、支援の質を決めていく。チームがバラバラであるなら、「利用者の方のことを本気で考えることは難しいだろう」
・チームは、専門性を高める過程で作っていく。
・暗くて出口の無いNOは要らない。明るくつながりのあるNOを大切にして、会議を活性化する。現状を変えていく
・出口のない「NO!」の後は、会議が暗くなる。人の批判でもって立場を作らない。土俵の外からの批判や評論は非常に迷惑
・その自立した個が補完しあい、育ち育てあう力動的な職員集団を作る
・個々の持ち合わせている能力やパーソナリティーを生かす雰囲気を大切にする
・プロとしての仕事に希望が無ければ新人は育たない。新人が育つ環境、それはつまり皆が伸びる環境でもある
「自閉症の人が喚起する課題は、・・・
人が生きることの意味さえ問いかけて来る厳しさがります」
(1)現場第一主義
・寄り添う・つきあう、受け止める、感度・感性を磨く、ヒット・噛み合う・鮮度。先輩が「面白がって仕事をする」
・現場で育つ。しかし、現場に埋没するのではなく、現場から展開し発信する。静ではなく動の現場。
・だから、時代感覚は常に磨いておき、社会的視点を持ち続ける
(2)失敗から学ぶ、彼らから学ぶ
・失敗を生かすか殺すかは、支援者としての育ちを決める。
・「彼らから学んだ時に、本当に積み重ねのある学び方ができる。そういう積み重ねというか、自己学習できる職員になりたいものです。」
(3)とどまらない。納得しない
・状況や時代に応じて、常に捉え直す力・問い直す力、フィードバックする力を身につける
・不断の問い直しが止まった段階で、あかりの家は崩壊に向かう。それ程に高度で困難な取り組みを行なっていることを自覚する。
・安住=マンネリ=職員の都合優先。「マンネリは精神の堕落」
・人の応援には「ハート」が要る。しかし「心」だけでは、うまく自己表現できない人の理解は難しい。「心」に「頭」が加わって、更に、実践しようとする時、「身体」を動かす。「身を低く、頭を使っている表情」。
・頭と心を経由しなくなると、血が通わない支援、ねらいと違った支援、マンネリ化した支援が繰り返され、「単細胞」になる。
・「先回りの応援」、「状態に応じた応援の出し入れ」、「密着取材」。
・すぐ動く。動いて結果を出す。
・「次のステージ」、「支援のバージョンアップ」のない療育には希望が無い。“もぐら叩き”、“10人の大名行列”
・「手ごわい相手」は、療育的な力をつけないと見えてこない。療育的な力をつけると、人生に関わる仕事ができるようになる
・いい実践は、言葉にして残す
・<プロ集団あかりの家>の担い手には、責任感と、創る力、解決する力、組み立てる力を要求する
・忙しいから出来ないのではなく、忙しいからこそ力をつけていくのである
・会議は、現場を犠牲にして成り立つことを知る。
・(全体状況の中での)今を明らかにする。 “結局今、どんなのよ!?”“何が必要なのよ!?”に端的に応える力をつける。
・「現状分析力」と「問題解決能力」 「有期限・有目的」
・会議には終了時間を設定し、メリハリのあるリズミカルな進行を心掛ける。最大2時間。問題提起はA4、1枚。
・正論が語られなくなった段階で組織の成長が止まる。職員の目線は利用者から職員に向きはじめる。
・ただし、ここで言う「正論」とは、きれい事の意ではない。利用者の方向を向き、かつ実践の力を持った理屈である。
<丁寧さ>と<謙虚さ>と<専門性>で、利用者からも地域から信頼を得たいと思う。
・両者の関係に躓きがあると、犠牲になるのは誰だ!
隠蔽体質にならない相互牽制
・閉じると風通しが悪くなる。空気が淀む、“汚泥”が溜まる。
内向きになると派閥ができる。「自分たちに甘い職場」を作るな
食堂、トイレ、浴室、廊下、居室、玄関、マット等々。アンチ劣等処遇
Ⅱ.利用者との関係の方向
(1)虐待防止<資料:あかりの家療育倫理規定-あかりの家虐待防止の5本の柱 ver.2>
・虐待は人の尊厳を踏みにじる行為
・一方的な関係における虐待は、支持者としての感性の欠如であり、その職員の人格の問題でもある。
・一方的な関係ではついついぞんざいになり横暴になってしまう、人に関わるわれわれの仕事の<落とし穴>を常に頭に入れておく。
・職員一人一人日々、人権感覚を磨き続ける
(2)年齢にふさわしい呼称を使う <資料:あなたはここで暮らせますか?>
・人としての<豊かさ>や<優しさ>は、人に関わる仕事に就く者の大前提
・いい関係は、いい二者関係。いい二者関係は、安心と信頼。安心と信頼の基本は「普通に動けるための応援」から始まる。安心と信頼があれば、不安に陥ってもその人をとおして落ち着くことができる。ガラスを割らなくてもすむ。
・自閉症の人達は信頼(出来る二者関係)を通して、まわりの世界を意味付けていく。
・安心の提供をできない担当につくと落ち着かない。無用な刺激から守ってもらえない。言葉や動きや表情や姿勢のズレを見抜いたり修正してもらえない。混乱を整理してもらえない。振る舞い方を教えてもらえない。(4月は担当等異動の時期である)<資料:眼鏡人間>
・しっかり「受け止める」安定感。どっしり構えて、逃げない、愚痴らない、暗くならない、応援をケチらない。「ヨッシ任せとけ」と気持ちと体重を一歩前に出す。「怒らなくても大丈夫。しっかり手を持っていてあげるから」と応援の声掛けをする。
・方法論としての、「優しさか厳しさか」、「受容か主導か」の二者択一議論は意味をもたない。共に必要であり、時々によって違う。利用者によっても、利用者の状態によっても違うし、支援者によっても違う。
・行動障害の裏に隠された本音や内面を読み取り、行動障害の裏に隠された本来の力を引き出す。
あいうえお
・わかりやすい関係と環境を作る事が出来るかどうか、それによって力量の半分が決まる。それによって自閉症の人達は生き易くなる。
・簡潔、目に見える、見通し、一貫性、安定性、安心等々、様々な環境的な「わかりやすさ」、関係的な「わかりやすさ」がある。
・言葉(語調、トーン、大きさ、具体的な表現等)や動きや表情にも繊細な注意を払う
・具体的に提示する。
「頑張ろう」ではなく、どう頑張ればいいのか、その内容や手順や見通しのプログラム化を念頭に置いた応援を心がける。
・「おかしいじゃないか」「何してんのよ」では分からない。分からないどころか、不快感情を溜め込むだけ。
・成功させて信頼関係を築く。失敗すると信頼関係が後退する。
・特に最初が肝心。初物に注意。初めての経験を成功で乗り越える。失敗すれば、場所や時間や方法や姿勢や、場合によっては関係を変えて取り組み直す。
・コミュニケーション力を育てる。表出方法を工夫する。これは、自閉症支援の最重要ポイントかもしれない。
・「意思決定支援」が、人権を守る方向からも重要なテーマとなっている。
・こちらの気持をしっかり伝える。そのたの方法、工夫、関係作りの日常的な努力。普通の時に付き合いきっておく。
・人の言うことを聞ける心の構えを育てる。必要に応じて、日常の声がけをいっぱいする。
・コミュニケーション力を双方がつけて、はぐるまを噛み合わせる。相手の気持ちが分かれば支援の精度が上がる。
・(人生を応援しようとする)志と意思と、(それを可能にする)技術は両輪の関係
・両輪無き「止める」は、関係を貧しくし、強迫性を強化する。「その人の気持ちに対して集中力が行かない」
・「止める」は、最難度の方法であり、最高の倫理性を問われる方法であることを知る。
・プロとしての成長の過程は、一つの接点の深まりと面積の広がり、そしてチャンネルの数が増えていく過程である
・接点・チャンネルの貧しい支援(単細胞的支援)は、行き詰まりに向き合えない。状態の応じた支援の出し入れもできない
・いいかげんな終わり方はしない。最後の最後までつきあい切る。ゆったりできたところで終わる。「自分でできた実感」を持たせて終る。
・中途半端な終わり方は、不快緊張や否定的な感情を溜め込むだけ。関わらない方がまだマシ。
・「確固とした向き合いと、かゆいところに手が届く細やかな対応」
・自分は利用者にとってどんな援助者でありたいか、明らかにする
・そして、今、それぞれの利用者にとって自分はどんな援助者としてあるか、明らかにする
・行動障害のある人たちの応援には「存在感」が重要なポイントになる。
人生に関わる責任ある仕事であることの自覚をもつ
・「パニックにも寛容な、自閉症の人達のよき”理解者”であってはならない」
・「みんな条件は違うが、納得いく人生を送って欲しい」
自閉症総合援助センター
「自閉症総合援助センター」は、全日本自閉症支援者協会前会長・元あかりの家理事の奥野あさけ学園前園長が、自閉症の人達への総合的な支援の必要性に基づいて、私達「自閉症者施設」の果たすべき、目指すべき方向として提唱された構想です。
自閉症の人たちへの支援には「生涯援助」の視点が欠かせません。「自閉症総合援助センター」は、各ライフステージに沿って、あるいはその時々の状態や状況に応じて、高度な専門性と総合的で多様なニーズに対応するために必要とされる、総合支援体制の構想です。
沿革
社会福祉法人 あかりの家 沿革
1980・S.55年11月 | 「兵庫県自閉症児親の会」の年長児の母親3人が発起人となり 入所施設建設を呼びかけ
|
1982・S.57年 7月 | 加西市に建設地を確保
|
1984・S.59年 9月 | 高砂市に建設地を確保(加西市での建設を断念)
|
1985・S.60年 9月 | 「社会福祉法人あかりの家」認可
|
1986・S.61年 4月 | 精神薄弱者更生施設あかりの家開設(現、障害者支援施設)
|
2002・H.14年10月 | グループホーム「希望山荘日笠」開設
|
2003・H.15年 4月 | 知的障害者通所授産施設「ワークホーム高砂」開設 (現、多機能型事業所;生活介護、就労B型)
|
2003・H.15年12月 | 自閉症・発達障害支援センター 受託
(現、発達障害者支援センター)
|
2012・H.24年 1月 | 児童デイサービスあかりの家 開設
|
2014・H.26年 4月 | 地域支援センターあいあむ 開設
|
2015・H.27年 4月 | グループホーム「オリーブの家」 開設 |
2017・H.29年 4月 | グループホーム「友愛の家」 開設 |
現在実施事業(2017年4月現在)
1. 障害者支援施設 あかりの家 | ①生活介護、施設入所(定員40名)
②短期入所事業(定員6名)
③日中一時支援事業(定員10名) |
2. グループホーム 希望山荘日笠 | 定員 20名
①共同生活援助
希望山荘日笠 7名
オリーブの家 7名
友愛の家 6名
|
3. ワークホーム高砂 | ①生活介護、就労継続B型(定員40名) ②日中一時支援事業(定員3名)
|
4. ひょうご発達障害者支援センタークローバー | |
5. 児童デイサービス あかりの家 | ①児童発達支援事業、放課後等デイサービス(定員10名)
②保育所等訪問支援事業
|
6. 地域支援センター あいあむ | ①特定相談支援事業、一般相談支援事業
②障害児相談支援事業
③障害者等相談支援コーディネート事業
④東播磨臨海地域におえる相談支援機能強化事業
|
廃止・終了事業
1. あかりの家四郷分場 | (03年3月 授産施設開設に伴い閉鎖)
|
2. 障害児(者)地域療育等支援事業 | (07年3月 委託事業廃止に伴い終了)
|
3. 強度行動障害者特別支援加算(事業) | (08年3月自立支援法移行に伴い終了)
|
次世代育成法
次世代育成支援対策推進法【次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画】
平成15年7月に「次世代育成支援対策推進法」が施行されました。 この法律は次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資することを目的として、国、地方公共団体、事業主が行動計画を立て雇用環境の整備、その他取組みを推進していくためにつくられたものです。この法律に基づき、あかりの家では、下記のとおり取り組みを行っております。
平成27年4月1日
社会福祉法人 あかりの家
あかりの家では、職員がその能力を発揮し、仕事と生活の調和を図り働きやすい雇用環境の整備を行うため、次のように行動計画を策定する。
次世代育成法に基づく行動計画(20224~20243) (R4.7.26)
計画期間 令和2年4月1日から令和5年3月31日まで
内容
目標1 |
産前産後休業や育児休業、育児給付、育休中の社会保険免除など、制度の周知や情報提供を行う。 |
対策 |
令和2年4月~
出産予定の職員に対し、個別に説明、相談を行い、適切な社会保険手続きを行う。
令和2年8月~
育児休業、介護休業等の説明を行い、周知してもらう。 |
目標2 |
所定外労働の削減のための措置を検討する |
対策 |
令和2年4月~
ノー残業デーを設置有無について、再検討する。
令和2年5月~
設置する場合は、具体的措置を検討する。
ノー残業デー以外での労働時間削減措置を検討する。 |
□次世代育成支援対策推進法第13条に基づく認定を受けました。
○「くるみん認定企業」とは
次世代育成支援対策推進法では、仕事と子育ての両立を図るための雇用環境整備等について行動計画を策定し、企業内での取組を推進するよう事業主に求めています。
取組を推進し、行動計画に定めた目標を達成するなどの一定の要件を満たした事業主は、申請を行うことにより、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣(労働局長へ委任)の認定(くるみん認定)を受けることができます。
認定を受けた事業主は、次世代認定マーク(愛称:くるみん)を広告や商品、名刺等につけることができます。